2001/1/1 (月)
新年

HAPPY NEW CENTURY!!

ついに21世紀。でも何だかあまり実感はない‥。まあ、そんなものでしょう…。いつもと変わらないお正月。朝みんなでおせち料理を食べて、祖父のお墓詣りに行って、夜は親戚でお食事会。でも、コレってもの凄い幸せなのかも???鶴田家はここ数年ベビーブーム。毎年、テーブルに付く人数が増えて行く。よいこと、よいこと。そうやって時は流れ、世代が変わって行く…。


2001/1/2 (火)
調和

今日はコクーンにて照明合わせ。ストーリーの始めから順番に照明を作って行く。照明一つで全体の雰囲気が変わる。照明一つで芝居も助けられる。照明一つで一つの画面が時間経過していく。やはり光はスゴイ。こうやって少しずつ作品が形どられていく。やっぱり総合芸術は素晴らしい!!だって、一人一人が他者のこと、そして全体のことを考えながら自分がきちんと存在していなければ成り立たないんだもの。コレ、絶対21世紀のテーマ!!


2001/1/3 (水)
脱枠

初めての舞台稽古。やはり稽古場で稽古するのとはスケールが違う。ちょっぴりドキドキした。少しずつ蜷川さんの手直しが入る。大きな空間にはめ込んだ時、生きるモノと生きないモノがある。それを念入りにチェックする。舞台は一つの画面だ。でも、そこからはみ出すものがなければつまらない。それが一人一人の魂。もっと大胆に!!もっと楽しく!!もっとエネルギッシュに!!


2001/1/4 (木)
感傷

=踊りの練習=
まだふらつく。重心が取り切れていないのだ。スポットライトが当たっているだけにグラグラしているととても目立つ。本番までに何とかしなければ…。

=照明合わせの段取り=
バッチリ!!

=カーテンコールの段取り=
なんだか本当に本番が始まるのだなーと実感。いい顔してカーテンコールに答えたい。でも、こんな練習して、カーテンコールがなかったら寂しいなあ(笑)。

=通し稽古=
劇場で初めての通し稽古。なんだかドキドキした。私の出番は途中からなので、舞台袖からみんなの芝居が始まり出すと急に心臓がドキドキする。きっと、本番はもっとドキドキするんだろうなあ。

あー、もう明日はゲネプロ(本番と同じ様に芝居をする)。そして、明後日は初日。年が明け、実質的な稽古は稽古場にて終わっていたんだと実感。劇場では基本的に本番に向けての調整なのだ。出来ることはやったのであたふたしている自分はいないが、なんだか寂しい…。こんな感情になるとは思わなかったので、自分でも少々ビックリ。何が寂しいかというとみんなで試行錯誤しながら作り上げてきた苦し楽しい時が終わろうとしているからだ。結果は後から付いてくる。だから後は作り上げて来たモノを出すだけ。渦中はこんな苦しく大変な日々は早く過ぎないかと心待ちにしていたのに…。でも、きっと初日を迎えると新たなる感情にかき立てられるに違いない。そう、感傷に浸っている場合ではないのだ。だって、本番はこれからなんだもの!!


2001/1/5 (金)
予行

マスコミ用に抜き取り芝居。そして取材。そして夕方からゲネプロ。初めて他人(関係者以外)の前で芝居をした。不思議なもので客席に人がいると、違ったパワーが出てくる。高橋くんも、古田さんもみんなそうだった。いつもよりテンション高め。ワンステージ終わるとグッタリ…。やっぱり舞台はエネルギーを使うんだなー、と改めて実感。明日はいよいよ本番。どんな初日になるのだろう?


2001/1/6 (土)
初日

初日!!無事終了!!
ホッと一息。あー、なんとかここまでもってこれてよかったー!!みんなニコニコ。笑顔笑顔。これは一緒に苦しんだ人としか分かち合えない喜び。開演前、蜷川さんもウロウロしながら「キンチョーするなー。」と歩き回っていた(笑)。稽古後一緒に居残り練習をしてくれたみんなに本当に感謝。はじめはどうなるかと思ったけど、なんとか形になったように思います。あー、まだまだ続く。毎日何かを掴んで行かれたらいいなあ。明日もがんばろーっと。


2001/1/7 (日)
少々

二日目終了。昨日よりも落ち着いて出来たようにも思う。けど、やはり踊りがまだ今一…。あー、がんばらねば…。そういえば昨日の方がお客さんの反応はよかったなあ。やっぱり初日のお客さんの方が特別な思いを抱いてくるから余計にエネルギッシュなのかもしれない。一公演終わるとグッタリ…。やはりエネルギーを使う。まあ、当たり前なんだけど…。でも、公演が始まって、みんないい顔をしている。苦しい稽古を終えての幕開けだからあたりまえか(笑)。でも、そんなみんなの顔が嬉しい。高橋くんの今日の笑顔は抜けていた。よかったー!!日々いいカンジでよけいな力が抜けてくるといいなあ。明日はどんな公演になるのだろう?


2001/1/8 (月)
共生

三日目。今日はミステーク三連発!!ミステークは連鎖反応するんだなーと実感。でも、みんなフォローしあって上手くやっているので、お客さんにはわからなかったかも???でも、こんなふうに一つの過ちを瞬時にフォローしあいながら進行していかれるのはステキだなーと思った。そこには常に自分のこと、他人のこと、全体のことを同時に考えながら、瞬時に適応出来る頭の良さと柔軟性を持ち合わせていなければならないわけだから。


2001/1/9 (火)
嗚呼

今日は休演日。ゆっくり寝て、針医者に行って、蜷川さんのオススメビデオ『柔らかい殻』(フィリップ・リドリー監督)を見た。あー、なんだか切ない日。きっと、この切ないカンジは『柔らかい殻』のせい。でも、とてもいい映画だった。嗚呼、人生、人生…。


2001/1/10 (水)
身体

今日は夜の公演のみ。昼間、整体に行った。体が本番体制になっていると言われた。当たり前なのだが、ちゃんと体が精神に付いてきてくれていると思うと嬉しかった。ありがとう。
気を沢山入れてもらったせいか夜の公演は比較的気持ちよく演じられた。整体に行った後は自分でも感覚の何かが開けているように感じる。いつもこんなに余計な力が抜けているといのに…。でも、都会で仕事をしていると絶対に無理。良いモノも悪いモノも混沌としているから全部を受け入れていたら壊れてしまう。だから知らず知らずのうちになるべく余計なモノを入れないよう体がコントロールしているのだろう。いつも申し訳ないと思いつつ感謝感謝。


2001/1/11 (木)
幸福

今日は初の二公演。今は昼間の公演が終わったところ。
寝ない方がいいと言われたので、控え室にて、友人のアフリカ日記を読み、自分の日記を書きながら過ごしている。アフリカ日記を読んでいると、自然と心が穏やかになってくる。アフリカの大地の匂いと空気が感覚に舞い込んでくる。こんな時、無性に古今変わることのない大きなものに抱かれたくなる。やっぱりちょっと疲れが溜まっているのかなあ?今日はちょっとフラフラしていた。貧血気味。たぶん、あまり食事が喉を通らないせいだろう。舞台前は緊張して通らなく、舞台後は疲れ果てて通らない。でも、なんとかこなせるんだから大丈夫。食べたくない時は体が欲していないということだから、無理して食べる必要はないのだろう。一日一日がアッという間に過ぎていく。なんだか恐い。あまりに早すぎて、きっと人の一生なんていろいろなことがありながらもあっという間に終わってしまうんだろうなあ、などと考える。舞台上で生きている。幸せなコト。舞台上で光をもらってる。幸せなコト。夜の公演もがんばろう!!

夜の公演、わりと落ち着いて出来た。よかった、よかった。少しずつ人の台詞を聞く余裕、客席を意識する余裕が出てきたのかもしれない。明日もがんばろーっと。


2001/1/12 (金)
修業

大きなミスはなかったが、今一入り込めなかった。
集中力に欠けていた…。でも、体調が悪いときも、精神的に弱っている時も、お構いなしに日々同じ時間に幕が開く。そして、同じ芝居がくり返される。これって逆にその日の自分の状態がわかったりして面白い。そして、何だか精神修業しているみたい。

終演後、みんなで食事に行った。みんなの話を聞いていると、舞台のいろいろな所で日々いろいろなドラマが繰り広げられていて面白い。何回か足を運んで行列の人々の動きをチェックするのも楽しい見方かも???


2001/1/13 (土)
狭間

今日は二回公演。前回もそうだったが、どうも二回目の方が調子いい。体が温まっているせいだろうか?声帯が開いているからだろうか?でも、毎朝、ストレッチも声のウオーミングアップもやっているんだけどなあ。
そうそう、舞台が始まって、それまでに自分が想像していたこととは全く違ったことが一つあった。それはカーテンコールである。今までは、きっと一公演終えて客席から拍手をもらうのってすごく嬉しいのだろうなあ、
と、カーテンコールに笑顔で佇んでいる自分を想像していたのだけれど、実際は一公演終え、もぬけの殻になっている。舞台で燃焼してしまって力つきてしまっているのと、虚構の世界にいたのでいきなり現実にもどって来られないのとの両方である。だから、きっと客席から見たら無愛想なんだろうなあ…。


2001/1/14 (日)
客観

今日はマチネのみ。日曜日のせいかお客さんの反応はよかった。高橋くんも日に日によくなっている。あー、迷惑を欠けないようにがんばらなくては…。自分的には今一感情が入り切らなかったのだけれど、終わった後スタッフの一人に「今日の芝居はよかったね。」と言われた。自分がいいと思ったときと、人がいいと思ったときが違うときがある。コレって不思議。でも、自分があまり入り込みすぎても、見ている人はひいてしまうのかも???


2001/1/15 (月)
銀河

今日は休演日。朝目覚めたらもう12時だった‥‥確か昨日は12時前に眠ったはずなのに…。
ビデオで「銀河鉄道の夜」の見た。なんか久々に宇宙を感じて気持ちがいいのと、ヒリヒリしているのと両方。
昔、本は買ったのにそのまま本棚で眠っていて、実は話も良く知らなかった。鉄道に乗っているジョバンニとカンパネルラを見て、いつのまにか自分と重ね合わせていた。途中から最後まで見るのが恐かった…。
数年前、自分も銀河鉄道の旅をしたなあ、と思った。
地球時間で3年位だった。今から思うとあれはやっぱり星の祭りの日だったのだと思う。目が覚めると、そこはもう宇宙で、旅は始まっていた。いろんな景色を見た。でも、どの景色も美しかった…。
涙が出そうに美しかった…。
今は人生の半分が現実で半分が宇宙旅行。


2001/1/16 (火)
影響

「今日の芝居はちょっと感傷的すぎたかも…」
終演後、スタッフの一人に言われた。あー、コレきっと宮沢賢治のせいだ!!昨日、銀河の旅をしてしまったからなあ。それに今日は映画「キャラバン」の特別番組で別所哲也さんがネパールに訪れた時の番組を見て、気分はネパールだったし…。気を付けよう、まだ宇宙旅行はお預けなのだ。

夜、文化村の人と演出部とメインキャストで食事に行った。みんないい人。普段はあまりこういった食事会は好きではないんだが、今日はとっても楽しかった。そして、古田さんサイコー!!コトバの選び方に、ものすごい優しさを感じた。


2001/1/17 (水)
体力

昨日は明け方までみんなで飲んでしまったので、今日は昼近くまで寝てしまった…。でも、今日の公演はソワレなので大丈夫!!ゆっくり起きて、お風呂に入って、ストレッチして、声をならして劇場へ。古田さんは昼から新国立劇場へ芝居を見に行っていたらしい…。
そして、今日も終演後飲みに出かけていた。なんというパワーなのだろう???感心感心。私にはとてもまねできない。「鶴田さんって以外とタフだよね。」とよく言われるが、実は、タフではないので、もの凄い体調に気を使っていたりする。きっと、今日もベットに入ったらバタン・キューのはず。(笑)


2001/1/18 (木)
青空

今日も二回公演。マチネが終わり、次ぎのスタンバイ時間まで控え室にて本を読む。竹中直人「月夜の蟹」。竹中さん独特の視線、そして時間の流れ、空気の流れが私は好きだ。一段落つきフッと顔を上げると劇場を写し出しているモニターが目に入った。そうだ、消し忘れていたんだ。そのまま何となく眺めていると舞台上を一人の青年がフラフラと歩いてきた。セットの階段を上がったり下がったり、しゃがんでみたり立ち上がったり…なんだか切なくなった。カランとした劇場の中でこの人は一体何を感じ、何を思いながら歩いているのだろう?人のいない客席は何だか妙にカランとしている。ただただ整列している四角い椅子はとても無機質で感情を持ち合わせていなかった。それでも、舞台上の青空だけは永遠に美しくどこまでも繋がっていたのだけけれど…。

ああ、そろそろ準備をはじめなければ…後1時間でこのカランとした空間は再び生命を持って動き出す。


2001/1/19 (金)
道々

本番前に踊りの稽古。やはりまだ、細かいところが出来ていない。重心は真ん中に入ってきたものの、見せ所のポイントのつめが甘いのだ。一つ出来るようになると次ぎの課題が出てくる。だから終わりがなくて面白いのだが…。公演が始まってからも踊りの稽古につきあってくれる、振り付けのうらんちゃん&高橋くんに感謝!!ここまでと思ったらそこまで…日々良い舞台になるよう、千秋楽までがんばろう!!


2001/1/20 (土)
余生

先日、一週間前に見に来てくれた友人が「たった、一週間でもの凄くよくなった!!」と誉めてくれた。いろいろな意味で呼吸があってきたのだろう。ちょっと嬉しい。でも、逆にそうでなければ困る。一日一日、生きている分だけ成長して行かないと…。野口整体のパイオニアである野口晴哉先生が著書の中で「全生」というコトバを使っていた。「全生」とは全部を生きる。全部をきちんと生きていれば人は生きている分だけ成長していくはず。芝居と一緒、始まってしまったら終わるまで時間は流れ、いやでもコトは進んで行ってしまうのだ。だから、その中で、その役で、一生懸命生きなければ…。


2001/1/21 (日)
家庭

今日は疲れたー!!
日曜日は火曜日から続く公演の最後の日(月曜、休演日)だから疲れがピークになってしまうのだ。公演後友人宅にご飯を食べに行く。でも友人宅のリビングの椅子でガーガー寝てしまった(笑)。起きたらご飯が出来ていてワーイ、ワーイ。今日のご飯はお鍋だった。身も心も温まって幸せ、幸せ。今日初めて知ったのだが、お鍋に腐乳をいれるととてもコクが出て美味しい!!是非お試しあれ!!


2001/1/22 (月)
休日

休演日。休演日=体を休める日。後一週間だから、体よ体がんばっておくれ!!


2001/1/23 (火)
疑問

今回の舞台は映像化するらしく、今日の昼は撮影用に追加公演。でも、舞台の映像化ってどうなんだろう?ちょっと疑問。やはり舞台のパワーは舞台でしか出せないものだし…。よくNHKなどで舞台の番組をやっているけど最後まで見れた試しがないし…。うーん、きっと上がりを見たらショックなんだろうなあ。


2001/1/24 (水)
貧血

なんだか今日の舞台はフラフラ貧血気味だった。最近は食事もちゃんと喉を通るようになって、食べているのになあ…。がんばらねば、がんばらねば。


2001/1/25 (木)
愛情

今日は演出助手の尊晶さんがお昼ご飯にお雑煮を作って来てくれるというので、私も大根の煮付けを作って行った。そしたらなおこさん(演出助手)も筑前煮を作って来てくれて、今日のご飯は豪華、豪華。やはり人の手(愛情)が入ったモノは特別に美味しい。そして人のためにつくる料理はやはり楽しいなあ、と思った。初日、2日目、3日目…と数えていた舞台もいつの日からか後何日、あと何回公演…と数えるようになってしまった。急にココロがキューンと痛くなる。終わりが見えてくるとなんだか急に切なくなって体から違う物質が出てくるのだろう。恋人と別れるときに急に愛おしくなって泣いてしまうような感じに似ているのかもしれない。けれども、こんな感情も数日たつとなんでもなかったかのようになってしまったりするのだから人の感情なんてあてにならないものだなあ、と思ったりする。けれども逆に、だからこそ瞬間瞬間の思いを一杯一杯味わって泣いたり笑ったりしたりしながら生きていきたいなあ、と思う。先のコトはわからないし、考えてもしょうがないから今を一生懸命素直に生きたいなあと思う。


2001/1/26 (金)
奇跡

私のマネージャーに言わせると先週の土曜日、日曜日、火曜日の公演がとてもよかったらしい。みんなのテンポがよく、そして舞台から感じるエネルギーが強かったらしい。自分では…うーん、確かに土曜日のソワレは今までになく楽しかったが、後の日はそんなにいつもと変わらないような気がしていた。‥‥自分で自覚が薄いと言うことはどうにもこうにも意識のしようがない、困ったものだ。でも、舞台は生もの、計算でみんなのエネルギーをかけ算にする事は不可能に近い。ここまでみんな頑張ってやってきたんだもの、後は自分をクリアーにして神様の降りてくるのを待つのみ。あと3回、気を抜かずに最後までがんばろう!!


2001/1/27 (土)
連帯

今日の公演も無事終わり、ついに後一回公演になってしまった。今日もみんなで手作りご飯。今回のチームは役者もスタッフも年が近いせいかみんな仲良しなのでホントに嬉しい。やはり一つのモノをみんなで苦しみながら作ってきたという連帯感もあるのだろう。やってよかった!!本当にそう思う。みんなに沢山のありがとう!!明日はいよいよ千秋楽。


2001/1/28 (日)
満月

今日は朝から何だかドキドキしていた。いや、朝からではなく昨日の夜からドキドキしていた。このドキドキは緊張からくるものでなく…なんだろう???きっと "今日で終わってしまうんだあ" という切ないようなホッとするような不思議な感情からくるものだったのだと思う。いつも本番前に舞台上をフラフラ歩いているのだけれど、今日は舞台上のセットが、照明が、客席が…全てのものが自分の目には美しく儚いものに写っていた。そして、毎日何となく本番前にとりとめもなく話している高橋くんやなおこさん、そして蜷川さんや尊晶さんの顔がたまらなく愛おしく自分の胸に焼き付いていた。そして、少しだけいつもと違うテンションのもと本番が始まる。一つ一つの台詞がとても愛おしく思えた。そして、まるで体のどこかに予備タンクでもあったかのようにいつもよりテンションが少しだけ上がった。無事終演、そしてカーテンコール。今日のカーテンコールはらっきょうさんが蜷川さんのモノまねをして登場。蜷川さんも登場。みんな笑顔。客席はほぼスタンデイングオベーションとなった。この作品に出られてよかった…本当にそう思った。ちょっぴり目頭が熱くなった。色んな事があって、いろんなことを乗り越えて、やっとここまでこられた。しかも笑顔で終われたなんて本当に嬉しい。あー、きっとこれだから舞台は中毒になるのだろう。終演後、蜷川さんにインタビューをした(ホームページ用)。蜷川さんもこの舞台が無事終えられた事にホッとしていて、やや感傷的になっていた。今日と言う日を無事迎えられて、そして無事終了して、蜷川さんの30年間が走馬燈のように体中を駆け巡っていた。ステキな話をたくさんしてくれた。本当にこの人と、この作品で出逢えてよかったと思った。打ち上げ後、結局、朝4時までみんなで飲んでしまった。21世紀の始まりにこの人達と出逢え、仕事が出来て本当によかった。明日から寂しいんだろうなあ。


2001/1/29 (月)
新月

目が覚めると外は雲一つない快晴で、なんだかココロはカランとしていた。窓際から差し込む日差しは優しくて、なんだか時間が止まってしまったよう。終わったんだなあ…。でも、こうやってゆっくりと二ヶ月間の熱を冷ましていく時間はとっても大切。すごく贅沢な時間だ。そういえば、どこかの雑誌の星占いに今月は神さまから花束が届くでしょうというような事が書いてあったっけ…。いろいろな人の顔が浮かぶ…蜷川さん、尊晶さん、なおこさん、うらんちゃん、古田さん、高橋くん、この舞台を成功させてくれる為に働いてくれたスタッフの一人一人、キャストのみんな‥‥。本当にありがとう。


2001/1/30 (火)
埋葬

電車に乗って、小さな旅に出かけました。
流れ行く景色を眺めながらいろいろなことを振り返り、風に流して行く…まるで作品を埋葬しに行ったかのよう…気が付くと真鶴辺りになっていて、目の前にはキラキラ光る海が広がっていました。

「海が見える。海が見えるぞ!光がちかちかする渚が見える。白刃のようにまっしろい波…」

「…沖へ出よう。沖へ出たら…」
「沖へ出たら?」
「沖へ出たら何をしよう。」
「沖へ出たら太平洋心中!」

("真情あふるる軽薄さ" 清水邦夫・作 より)
海はやっぱり偉大ですね。なんだかとても心を穏やかにしてくれます。河津という下田の手前の駅で下車して、旅館までフラフラと歩きました。まだ1月なのに菜の花が咲き乱れていて、桜の木には今か今かと待っている蕾が沢山ついていました。河津桜というのは他の桜より少しだけ咲き始めるのが早いそうです。途中、神社に寄ったり、人の家になっている金柑を取って食べたり、なんてことない貴重な時間を過ごし、温泉に浸かりました。少しずつ浄化して、少しずつまっさらになって行きます。明日は海をお散歩しようかな?


2001/1/31 (水)
成仏

朝、目覚めてから、もう一度湯に浸かり、ゆっくりと朝食をとり、海まで散歩に出かけました。とってもいいお天気。暖かい光に包まれて、澄んだ空気をいっぱい吸い込み…ゆっくりゆっくり時間が流れていきます。
河津の名所を少し散策して、熱海によって、新幹線で帰りました。少しずつ浄化して、今はまっさらな状態になっています。きっと「真情ー」は成仏出来たことでしょう。そろそろ次ぎに向かってココロの調整をしていかなければ…。

本当にありがとう。この作品に関わった全ての人に感謝の気持ちを込めて…。




(c) TSURUTAMAYU 無断転載・引用を禁止します。