2000/11/1 (水)
深淵

奈良美智さんのアトリエに遊びに行く。奈良さんの目は奈良さんの描く子供のものと同じであった。作品は分身。いつも、そう思う。絵であっても、音楽であっても、たとえ芝居であったとしても、そこには丸裸のその人自身が写し出される。逆に、それがなければ嘘になる。


2000/11/2 (木)
純粋

タルヴィン・シンのライブを見に行く。彼はロンドンに住むタブラ(インドの太鼓)奏者で、坂本龍一さんやビョークなどとも仕事をしている、とても、キュートな甘えん坊さん。今日、初めて知ったのだが、タブラの演奏というのは、決められたリズムの組み合わせによって成り立っているので、今日のようなコンサートでは特に曲が決まっているわけではなく、全て、その時の客席との交流や宇宙との交流によっての即興らしい。そう考えるとなんとも色っぽい演奏だ。今日のライブはどうも思ったように、行かなかったらしく、控え室にもどって来たタルヴィンは落ち込んでいた。けれども、その落ち込んでいる様子もなんだか愛おしく、抱きしめてあげたくなってしまった。(笑)


2000/11/3 (金)
中毒

友人と食事。彼女とインドの話をしていたら、インドの魔法が少しだけ現実に解けてきた。「多幸症」が羨ましいと言われた(笑)。けれども「多幸症」の効き目もそろそろ切れてきた。あー、早くインドへ帰りたい!!
なんだか、まるで、インドは中毒性のあるドラッグのようだ・・・。


2000/11/4 (土)
紅葉

伊豆の修善寺にてロケの為、前入り。宿泊が温泉旅館だった為、夜空を眺めながら露天風呂に入り、思わぬご褒美をもらったようでルンルン。木々も色付き始め、すっかり秋模様。木々の葉が色付き始めると、気の早い私は秋よりも冬を連想してしまう・・・。私は何故だか12月が大嫌い。


2000/11/5 (日)
孤独

奈良美智さんからもらった本をパラパラめくる。ナイフを片手になんともいえない眼差しを向けている子供はやはり切ない。何かに触れると自分が壊れてしまいそうになるから、いっぱいいっぱいのところでなんとかバランスをとり、張りつめているのだろう・・・。


2000/11/6 (月)
聖水

無意識の扉を開くと、そこには無色透明の美しい命の泉があって、いろいろなモノが形なく解け合っている。
それはヒリヒリするほど美しく、哀しい。すごーく近くて、すごーく遠い場所。何かを生み出すとき、芸術家達はみな、そこの泉に水をくみに行く。


2000/11/7 (火)
時空

距離と時間と空間・・・。
曖昧だ、曖昧だ、曖昧だ・・・
人は何故、距離を移動すると落ち着くのだろう?
流れ行く景色を眺めていると、意識が行ったり来たりする。
現在、過去、未来・・・。
とりとめもなく思考が駆け巡る。
無心、無心、無心・・・・。
いつの間にか消えて行く。風と共に消えて行く・・・。



2000/11/8 (水)
脱魂

車の通り過ぎて行く音、虫の声、夜風の足音、滲んだ月、
真っ赤な鼻、吐息、実況中継・・・
音という一つの現実があるだけで
それはいきなり立体化する。
浮遊しているのは危険すぎるから・・・



2000/11/9 (木)
輪廻

1841年に徳川斉昭が開館した旧水戸藩の藩校、弘道館にて撮影。私の義理息子・徳川慶喜(NHKの大河ドラマにて)もここで学んだ。撮影の合間に館内をフラフラ歩き回っていると、光圀、斉昭、そして慶喜の写真が展示されている部屋に行きついた。慶喜と目があった。とても優しい顔をしていた。笑いかけられたような気がした。

「ほう、君が直子(つねこ)を演ったのかね。」
「ハイ」
「・・・あの、直子(つねこ)さんとはどういう関係だったのですか?」
撮影中からずっと、疑問に思っていたことだった。二人は恋愛関係にあったのではないかと囁かれていたのだ。すると、慶喜さんはやさしい顔で微笑みながら、「君の思っている通りじゃよ。」と言って消えていた行った・・・ような気がした。


2000/11/10 (金)
風邪

風邪をひいてしまった。昨日から調子が悪い。そういえば、昨日から急に冬温度になったように思う。あーイヤだ、イヤだ、寒いのは嫌いじゃー!!お番茶に梅干しと生姜を入れて飲んで寝た。


2000/11/11 (土)
病臭

風邪には独特の臭いがある。風邪をひいている人のそばにいくと「風邪」の臭いがするのだ。きっと、私も風邪の臭いがするのだと思う。(自分ではわかりにくい)あーイヤだ。私は「風邪臭い奴」なのだー!!


2000/11/12 (日)
記憶

細胞記憶

忘れたいのに、忘れられない
忘れたいのに、忘れたくない
哀しくて、嬉しい記憶

思い出そうとしても
思い出せないが
季節の香りや、夜になる前の青白い光
によって呼び起こされる

まるで、一瞬のうちに焼き付いてしまった
シミのよう



2000/11/13 (月)
魂夢

私の魂はいつも胸のところにあって、すこーし青みがかった白い光をホワンホワン出しています。
何か、表現するときはその光が増長して体全体を包みます。何かに強烈に反応した時は、まるで肉体が邪魔かのように体の中で氾濫を起こします。これはとても稀ですが・・・。キューンと泣いているときもあれば、穏やかに眠って居るときもあります。時々誰かがやって来て、仲良く過ごしているときもあるようです。


2000/11/14 (火)
気弱

今年は不景気のせいか、街中にはもうクリスマスツリーが飾られたりしている。今日は気温も低くて12月なみ。何だか本当に鬱になる・・・。風邪をひいて弱まっているせいもあるのかもしれない。普段健康なぶん、ちょっとでも体が弱るとすぐ弱気になる・・・。


2000/11/15 (水)
秘鑰

気になるモノを拾い集める
しっとりとした雨音、迷い道、雑踏、スクランブル交差点、アイアイ傘、散歩、音
楽、呼吸、脈、郵便物、手紙・・・・・・
とりとめもなく、ただただひたすらに

「現実的表現 と その方法論」
某編集者とヒミツのミーテイング。
なんとなく見えてきた。
まずはココロに触れたモノを拾い集めて行こおっと。



2000/11/16 (木)
書簡

拝啓

お元気ですか?
何だか最近神経が過敏になっているようです。
季節のせいでしょか?それとも・・・・。
「dancer in the dark」見ました。この映画に関して、私はなんのコメントを持つことも出来ません。この映画を前にすると私のコトバは全て嘘になってしまうように思えてならないからです。私の普段口に出しているコトバや行動は全て偽善なのではないかと心が痛くなります。私は何をすればいいのでしょう?ただただ涙が溢れます。

試写が終わった後、銀座の街を歩きました。まだ11月なのにデパートの前のクリスマスツリーには色々な色の光が点滅しています。そして、それとは裏腹に何の感情も持たない灰色の空が寒さに一層拍車をかけていました。
新しくできたルイ・ヴィトンのショップは何だか誇らしげで、harry winstonは「タイタニック」の一等車のよう、テイファニーは相変わらずヘップバーンを彷彿させて優しかったけど、笑顔で幸せなクリスマスを演じている様子には何だか哀しくなったりして・・・。
このまま家に帰る気もしないので、ちょっとだけお茶を飲んで帰ることにしました。

「オレンジ・フラワー」
いろいろ迷ったけど、ちょっぴり体に優しくて、温もりくれそうだったから。オレンジの香りのするそのハーブテイーは、想像通り香り高く優しくて、ハチミツとグランマルニエを入れたら、それは一層引き立ちました。

優しさをありがとう。

この手紙を書き終えたら、再び北風の中に戻って行かれそうです。

敬具


2000/11/17 (金)
波動

「・・・ひとたびこの体験をした人は、たとえおのが命を犠牲にしてでもそれを追い求めます。なぜなら、それはこの世のいかなるものよりもはるかに素晴らしいからです。」
(『音の神秘』ハズラト・イナーヤト・ハーン著 平河出版社)


2000/11/18 (土)
日向

久々の秋晴れ。赤や黄色やオレンジに染まった木々の山々に囲まれ、道の真ん中で日向ぼっこ。
「日向ぼっこの似合う女優さんだねー(笑)」
ドラマの待ち時間、共演者の渡辺いっけいさんに言われた。フフフ・・・・日向ぼっこは大好き。太陽はやっぱりありがたい。夏の熱い日差しや、ヒグラシの啼く夕暮れの時のあたたかいひかりも好きだけど、11月や2月の冷たい空気の中で、じんわりと優しく毛穴から浸透してくるような慈愛のひかりも悪くない。普段当たり前になって、ついつい忘れてしまう、何か、こころからありがとう、といえるような事柄を再認識したりして・・・。

雲ひとつない青空なのに、細かくて軽い雨がフワーーーッと降って来た。「狐の嫁入り」・・・何か化かされているのかなー???でも、いいや。ものすごく神秘的で美しいから・・・。


2000/11/19 (日)
魂眠

奈良美智さんのホームページに遊びに行く。毎日あんなにちゃんと日記書いていて偉いなー。自分の時間で行動していて偉いなー。私は自分のタマシイに優しくしているだろうか?・・・最近タマシイと一緒に行動していないかも。うちのタマシイ、最近よく自分んちでお留守番。そして、よく眠ってる・・・。やっぱりタマシイと一緒に行動しないとなー、そこから何も生まれて来ないし・・・。


2000/11/20 (月)
本性

某トーク番組の収録にて子供時代の話をしていたら、私はおチャメな意地悪キャラ好きだったことに気づいた。
「ムーミン谷」のミーや「はくしょん大魔王」のあくびちゃん、そして「奥様は魔女」のママなど・・。
まるで自覚症状がなかったが、もしかすると私はとってもイジワルなのかもしれない????


2000/11/21 (火)
進化

友人から手紙と一緒にゾウが水中で泳いでいる新聞記事の切り抜きが届く。ゾウの鼻が長いのは昔ゾウが海の中で暮らしていて、鼻をシュノーケルとして使っていたという仮説がDNAの検査で証明されたという記事だ。すごいねえ。


2000/11/22 (水)
共有

今日は久々のオフ。12月から舞台の稽古なのに、なんのトレーニングも出来ていないので、昨年ニューヨークで受けていたボイス・トレーニングのテープを出してきた。エリック(トレーナー)の「1999.8.16」という声が入る。ワーイ、何だかニューヨークの風が吹いてきた。「1999.8.16」に戻ってレッスンを受ける。時々エリックがピアノを止めてアドバイスをくれる。「もっとHAPPYに!!」2000年11月22日の私は1999年8月16日のエリックに笑いかける。そのうち、舞台をやるんだから少し動いた方がいいかも???と思い、動きながら、笑いながら声を出してみる。時々エリックが冗談をいう。2000年の私はそれに答えたりしている。まるで、エリックの家にいるかのよう…。テープに吹き込まれた声に、こんなにエネルギーが吹き込まれているなんて凄い。私はすっかり1時間ばかりエリックと時間を共有してしまった。その1時間をこっそりビデオテープに撮っていたら、きっと、かなりあぶない人だったんだろうなー。(笑)


2000/11/23 (木)
三途

昨日、『キャラバン』の監督エリック・ヴァリから写真とメッセージが届いた。大きな河にかかる細い橋をてくてくと歩いている旅人の写真だった。その河はエメラルドグリーンに輝き、そのうねりは雲海のようで、何とも言えず神秘的な写真だった。そう、丁度、三途の川を渡っている旅人のよう・・・。ドキドキした。嬉しくなった。こんな写真を撮れるなんてやっぱり凄い!!


2000/11/24 (金)
最期

下田にてロケ。今日は武蔵とお通の最後のシーン。武蔵が小次郎との決闘の為、巌流島に向かう船に乗り込む直前のシーンである。7・8年ぶりの、これで最後になるかもしれない再開。お互いの思いが交差して、なんともいえなくよいシーンであった。撮影中上川さんが「僕はこのシーンを撮る為に三ヶ月がんばってきたのかもしれない。」と言った。わたしもそんな気がした。それは、武蔵とお通の言葉だったように思う。なぜなら、この"三ヶ月"上川さんは武蔵の人生を、私はお通の人生を生きたからだ。そして、こんなふうに感じられる瞬間というのは、もしかすると人生に一度なのかもしれないと思った。


2000/11/25 (土)
空旅

今日はゆっくり、一日ゆっくり・・・。
・・・アレレ??? ゆっくりしていたはずなのに、気が付くと夕方。なんでーーー???ゆっくりしていると本当に時間が経つのが早い。でも、今日何してたんだろー?って考えるとあんまり憶えていない・・・。
先日、吉田日出子さんが「家に帰るいつもの道順なのに、時々自分でもワープしてしまったのではないだろうか?と思う程に気が付くともう家に着いていることがあるの。」と話していた。きっと、コレ、今日の私と同じ状態。たぶん、こういう時は意識の旅に出ているんだと思う。時空旅行!!でも、私にはその意識がないからどこに行って帰って来たのだかわからない・・・。わかるようになったらもっと面白いのになー。 


2000/11/26 (日)
真心

今日は親戚の神父様のいる教会のバザーに行った。
「ライブをやるのでよかったら見に来て。」と連絡があったので、その時間に合わせて行くと、彼は素肌に黒いジャケットを着て、十字架を首からかけていた。一緒に行った友人は「エ????あの人が神父様???」と一瞬キョトンとしていたが、180センチ以上もあるもんだから、なかなかきまっていて、かっこよかった。彼は信者の人達の(といってもみんな10代、20代だけど)書いた詩に曲を付けて、彼らとバンドを組んでいた。そして、自分たちの部屋で録音して、「お気持ち定価」でCDまで販売している。野外ライブで、機材もいまいち、マイクもいまいちだったけど、曲はとってもよかった!!音程もいまいち、声もいまいちだったけど、魂入っていてとってもよかった!!秋晴れの空の下、教会の中庭にて、私たちはウルウルだった・・・・。そして、ビンビン響いてた・・・・。"いまいち"の隙間に繊細で大きな愛がいっぱいつまってて、なんだか"本当に大切なこと"の原点見せられたような気がした。その辺のミュージシャンの曲よりずっとよかったかも???彼の書いていた詩がココロに沁みた。神父様とはいえまだ27才の男の子。がんばれーーーとココロでそっと祈ってあげたい・・・。

「ボクがボクでいられるところ」

スズメが空を飛んでいる たくさんの仲間を連れながら
誰かと一緒に旅立ちたいのは何だかボクみたいだ
ねえ、知っていますか? スズメは人の住むところに巣を作るんだって
ツバメが空を飛んでいる 右へ左へと揺れ動きながら
真っ直ぐに飛べないのはなんだかボクみたいだ
でも、知っていますか? ツバメは人のいるところに巣を着くるんだって
大空へ舞い上がり一列に羽ばたく鳥達のように
夕暮れの空をどこかへ急ぐ鳥達のように
ボクもなりたいんだ

あのスズメはどこに帰るんだろう
みんな同じ方向へ飛んでいく
明日もまた飛び立ちたいのは何だかボクみたいだ
ねえ、知っていますか?
誰にだって疲れた翼を休める場所があるんだって
あのツバメは何を見ているのだろう?
みんな安らぎを求め飛んでいく
優しい雲に包まれたいのは何だかボクみたいだ
でも、知っていますか?
柔らかそうに見えるけど、
けっしてそこには眠れないんだって
大空へ舞い上がり一列に羽ばたく鳥達のように
夕暮れの空をどこかへ急ぐ鳥達のように
ボクもなりたいんだ

空はこんなに晴れているのに
何故だろうボクのとこだけどしゃ降りなんだ
少年が一人濡れている 噛み締めた唇が振るえてる
ねえ、知っていますか?
雨が降ると鳥は飛べないんだって

たった一度だけでいいから今はあなたに抱かれて眠りたい
他に何もいらない ただ強く抱きしめて欲しいだけなんだ
そうすればボクもあの鳥達のように
どこかへ急いで帰ることが出来るんだ
たった一度だけでいいから今日あなたに寄りかかって眠りたい
他に何もいらない ただ背中に耳をあててその声を聞きたいだけなんだ
そうすればボクもあの鳥達のように また大空へと飛び立つことが出来るんだ
だから知って下さい ボクが飛んでいることを



2000/11/27 (月)
緩歩

友人からメールが届いていた。
「スロー・ダンス」というニューヨークの病院で近々死を迎える10代の末期ガンの女の子の詩だった。子供のお願いに「また明日」と答えてませんか?時間がないといって気になるともだちに連絡をおこたってませんか?「元気?」ときいておいて相手の答えをちゃんと聞いてますか?人生はレースではないですよ。急いでいると、大事なことを見逃して人生を終えますよ。というような内容の詩だった。

ちょっぴりドキッとした。


2000/11/28 (火)
初雪

岩手の江刺にてロケ。

今日の岩手は雪だった!!
ふるーいお寺の境内にチラチラ雪が降ってきて、
なんだかとってもキレイだった。
寒いの嫌い!!なんてさんざん言ってたけど、
頭の脳がキュッと締まって、第三の目がキーーンと通ってきて、白い息を吐くたびに皮膚が透明にぬけて行くようで気持ちよかった!!やっぱり寒いのも悪くないかも。(笑)
ホテルに戻って、「宮本武蔵」の第1話を見た。ハイビジョンでの撮影だったので、絵もきれいだったし、話の展開も面白く、よくできていた。ただ、現代版お通(私の役名)にしたとはいえ、このお通、やっぱり「つぐみへ・・・」をひきずっているお通になってしまったようにも思う・・・。


2000/11/29 (水)
反芻

岩手からの帰りの新幹線の中、先日神父様からもらったCDを聞いていた。いろいろなことを考えた。私はこころ美しく生きているだろうか?


2000/11/30 (木)
感謝

友人と食事。彼女には本当にいつもお世話になっている。お世話になりっぱなし・・・。そんな時、いつも自分は何をしてあげられているだろう?と考える。ダメだなー。人間出来ていないよなー。まあ、出来ていないから面倒みてくれているんだろうなー。気がつかぬうちに人から何かをしてもらうことに慣れすぎているよなー、これってキケンだよなー。甘えてるよなー。でも、甘えん坊だからなー。ありがたいなー。感謝しなきゃなー。出世払いで許してくれるかなー。それが甘えなんだよなー。でも、ありがとう。




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