2000/7/1 (土)
初回

東京着。飛行機の中で熟睡してしまったので、今日は眠れそうにない。明日から仕事なので、少し焦る。「つぐみへ・・・」の完パケがあがっていたので、それを見た。素晴らしい!!(自画自賛・<笑>)私たちが倦厭していた作為と嘘が必要最低限に絞られていたので、見やすかったように思う。そして、ちょっとしたインサートがとても象徴的に描かれていて、監督の才能を伺わせた。


2000/7/2 (日)
回顧

雑誌の撮影。今日の撮影はカメラマンの桐島ローランドさんの連載ページで、30年代を意識したファッション写真だった(「婦人公論」8月末売)。私の出で立ちはどことなくマン・レイと同棲していたキキというモデルに似ていて、楽しい撮影だった。


2000/7/3 (月)
受彼

久しぶりに友人と食事。その人はいつ会っても力が抜けていて、一緒にいるとこちらまでなんだか楽になってくる。本人は「怠惰なだけよ。」と言って笑うけれど、普段力が抜けているからこそ肝心な時に100%の力が出せるのではないかと思う。見習うべし・・・。


2000/7/4 (火)
郵便

3年前に神戸で酒鬼薔薇事件と呼ばれる事件があった。
校門に被害者の生首が置かれた、あの一連の事件だ。今回の「つぐみ・・・」の撮影に入るにあたり、この時娘を殺害された母親の手記を読んだ。この手記の最後に著者である山下さんは犯人に対して、彼の更正を願いながら「あなたは私の大切な息子」という言葉を書き残している。もちろんその気持ちは今だに日々揺れ動いているのであろうが、様々な苦難を乗り越え、そういった気持ちにまで到達出来た母親という存在を素晴らしいと思った。これは子宮(宇宙)を持った女性だからこそ出来る技なのだろうと思う。「女」は素晴らしい!!私は行ききった女性の強さを本当に素晴らしいと思う。
「つぐみへ・・・」の制作発表の時にこの話をしつつ、「私はこのドラマで様々な苦悩や犯人に対する憎しみを乗り越え、やがて母性にまで行き着く女性の強さを丁寧に描きたい。」というコメントを残した。
すると、今日、私のもとに一通の便りが届いた。山下さんからであった。内容は「・・・私が本を通して訴えたかったテーマをここまで深く感じ取って下さったことに感動しています。・・・素晴らしいドラマになることを心より願い、神戸の地より彩花と共に応援しつつペンを置きます。」というものだった。私はこのようなドラマを遺族の人達はどの様に受け止めるのだろう、と心配していたので、本当に嬉しく励みになるお便りであった。そして、また、もう一度心を引き締めさせる一通でもあった。こういう仕事をしていると思わぬ所で思わぬ人と繋がって行く・・・。それが素晴らしく、面白い。

「人生を明るいと思う時も、暗いと思う時も、 私はけっして人生をののしるまい」

「日の輝きと暴風雨とは、同じ空の表情に過ぎない。 運命は、甘いものにせよ、にがいものにせよ、好ましい糧として役立てよう」

(「ヘッセ詩集」高橋健二訳、白凰社刊)


2000/7/5 (水)
名曲

2話の完パケを見た。行方不明になったつぐみを捜し出す回として構成されているが、またもや最後の最後で涙してしまった。(本当に、自分のドラマで泣くなんてホトホト呆れてしまう・・・)それにしても、やはり「ROSE」は名曲だ。この曲がかかるだけで泣けてしまうのだから凄い。時として、芝居は音楽に助けられる・・・。


2000/7/6 (木)
疑問

ホームページを一緒に創ってくれている竹中君から「ちょっと大変かも」というメールが届く。「テレビか雑誌かにURLを告知しましたか?今日は多分いつもの100倍をハルカに越えるアクセスがあって面白いです。」おそらく、昨晩オンエアーした「ぷっすま」でホームぺージの話をしたからであろう。それにしても"100倍をハルカに越える"とはスゴイ。
テレビの影響力の恐ろしさを身にしみて感じた。こんなに影響力のあるメデイアであるにも拘わらず、こんなにくだらない番組が多すぎていいのだろうか?


2000/7/7 (金)
宿命

石原慎太郎さんが10代の頃に書いたという絵の展覧会に行った。ジャン・コクトーに影響を受けていたのか、それはコクトーのものによく似ていた。そこにある鋭敏な感性にココロ打たれた。と同時にこのような人が現在日本の政治家の一人でいてくれることを誇りに思った。
石原さんはパンフレットの中にこんなコメントを残している。「・・・これは少年という孤独な生き物が、どんなに孤独でしたたかなものであるかということを明かす私なりの記録である。ここに、散らばった、さまざまな、まぎれもなく私自身のものだったかつてのイメージを眺めなおすと、自分が結局その何分の一をも体現出来ずにいることに今さらながら焦らぬわけにはいかない。しかしまた、二十歳の誕生日を迎え少年時代を決別することは誰しも人間の宿命には違いなかろうが。」少年時代に決別し、そして自分の宿命に従って今を生き抜いている石原さんはやはりかっこいい。


2000/7/8 (土)
余韻

3話の完パケを見た。今までよりも展開が早かったので時間的には短く感じられたが、私的にはもう少し大切に味わいたい感じがした。きっと、私は結果はもちろんだけれども、その過程もじっくり味わいたいたちなのだと思う。


2000/7/9 (日)
懐匂

「つぐみへ・・・」のロケで銚子に来ている。私の夫である孝の実家が銚子という設定になっているのだ。実家となる家は港から細い小路を上がった高台にあり、見晴らしがいい。玄関には上がり框があり、畳の部屋へと続く。そんなに大きな家ではないが、窓辺には風鈴がかけられ、ブタの陶器の置物には蚊取り線香が灯っている。何故だか懐かしい。私の育った家には畳もなく、上がり框もないはずなのだが、こうやって空き時間を一人でこの家で過ごしていると、時間が子供時代の夏の日へと還ってゆく・・・。


2000/7/10 (月)
横顔

芝居をしていると相手の役者さんがどのくらいの深さで、どういう角度からモノを見ている人なのかがなんとなくわかったりする。きっと、役に入ると自我がなくなりその人が浮き彫りになるからなのだろう。今日は孝(n仲村トオルさん)のお母さん役である佐々木すみ江さんとのシーンだった。撮影の合間に見せた佐々木さんの横顔がとても印象的だった。


2000/7/11 (火)
規準

今日の撮影は2時間も巻いたので(早く終わったので)友達と飲みに出かけた。彼女と会うといつもしゃべり過ぎてしまう。きっと、彼女と私はどこか似ているので、意気投合し話がどんどん進んでしまうのだろう。しかし、冷静になって考えてみると、私たちのものを見るベクトルは他人から見るとおかしいのかもしれない・・・。


2000/7/12 (水)
待命

来年の仕事の打ち合わせ。なかなかよい21世紀の幕開けとなりそうなので楽しみ!こういう仕事をしていると先々のスケジュールがどんどん決まって行く・・・。それでも私などはあまり先のことを早めに決めるのは好きではないので、自分の気持ちが本当にGOするぎりぎりまで決めないようにしている。何故なら、今の自分と半年後の自分はモノの見方も、感じ方も変わっているかもしれないし、それに伴ってやりたいことも変わっているかもしれないからだ。


2000/7/13 (木)
幻想

夜、幼なじみのKから電話。昨年の暮れにコンサート会場であって以来だ。その時はあまりに痩せていたので、少し心配になった。電話越しに「元気?」と聞くと、「うん、大夫」と返ってきた。Kの精神の上がり下がりは幅が広い。故に、どうしようもなく脆くて、美しい・・・。
3年前だったか、一夏をKと共にニューヨークで過ごしたことがある。ある晴れた日、Kはホテルの庭で回っているスプリンクラーに逆行して走り出した。空を仰ぎ、嬉しそうに走り回る・・・。スプリンクラーの水しぶきが太陽の光に照らされキラキラしていたのだろう。まるで、フランス映画の1コマを見ているようだった。


2000/7/14 (金)
共犯

お陰様で「つぐみへ…」の2回目の放送の視聴率も上々。もちろん、びっくりするようなお化け数字は出ていないが、こういったドラマの場合は視聴率よりも視聴質の方を求めたい。
「つぐみへ…」のホームページの書き込みを見てみるととてもリアルに感じて下さっている人が多数いた。これはとても嬉しいことだ。被害者の気持ちになっていろいろと感じて下さっていることはもちろん嬉しいが、噂好きの一般の人達がどれ程こういう人達を傷つけているのかも同時に感じて欲しいと思う。


2000/7/15 (土)
文化

半年ぶりに日舞のお稽古に行く。今、練習中の演目は「黒髪」。これは舞子に旦那がつき、一夜を迎え芸子になるまでの舞いである。そういえば何年か前、イギリスでタクシーに乗ったら、運転手のおじさんに「昨日ビデオを見ていたら日本の芸者ガールが出てきたんだけど、芸者ガールはコールガールか?」と聞かれ、「違う」と答えたら「でも、お酒の席にいて、そこに来たお客と寝るだろ?」と言われ、「そうだけど・・・」と答えに窮した思い出がある。どちらかと言うとショーガールの方が近いんだけどな・・・でも、それもちょっと違うなー。


2000/7/16 (日)
月食

満月!! そして、皆既月食。
夜、友人宅でお酒を飲みながら月見。
夜空に輝く美しい満月を観賞しながらウサギの向きはどちらか、などというくだらない話題で盛り上がる。九時過ぎ位から月が次第に欠け始めた。速い速い、みるみるうちに欠けて行く・・・。影になってもまだ、朧気なオレンジ色をしていた。なんだかせんこ花火の残り火のようだ。昔の人はきっとおっ魂抜げただろうなー。


2000/7/17 (月)
子宮

昼過ぎに目が覚める。体が怠い。エネルギー不足に違いない・・・。海までドライブすることにした。こういう時は地球の呼吸に耳を傾け、そこに呼吸を合わせながらシンクロしてゆく・・・。久々の海は気持ちいい!!マインドが穏やかに、そして、ハッピーになってゆく。もう少し働いたらヒッピーになろうかなー?


2000/7/18 (火)
息抜

波照間島はサイコー!とメールが届く。タイでバクテリアに侵された!とメールが届く。シチリア島&マルタ共和国は是非オススメです!とメールが届く。みんな、いいな、いいなー。こんなメールが次々届くと私の旅心がうずき初めるではないか・・・。9月まで、がんばろーっと。


2000/7/19 (水)
風邪

なんだか、喉が痛い。風邪をひいてしまったようだ。
きっと、毎夜毎夜暑さに負けてクーラーをつけっぱなしにして寝ていたせいだろう・・・。声がガラガラで台詞が思う様に言えない。たった声が出ない、という現象だけで、こんなにも自分の表現の邪魔をするものなのだ、と改めて感じる。けれども、よく考えてみると日常の中で風邪をひくなんてことはあり得るのだから、その役の人が風邪をひいていたことにしてしまえばいいではないか、とも思ったりする。でも、それでも何かが違うような気がする。なんでだろう???


2000/7/20 (木)
音叉

「つぐみへ・・・」のナレーション撮りをする。アー、いよいよダメである。声が出ない!!ナレーションなんて、得に声が勝負なのだ。声に透明な響きがないと相手の心にまで浸透していかないのだ。音叉の実験の様に透明な響きは時空を越えて、響かせる。


2000/7/21 (金)
色々

父の恩師の孫にあたるKくんは、慣れ親しんだ南青山を離れ、奈良の奥地にある天川村というところに住んでいた。長い髪を一つに束ね、菜食主義になり、日本画を描いていたのだ。この天川村とは私も一度訪れたことがあるが、なんとも空気の澄んだゆかしい所である。
しかし、有名なグラフィックデザイナーであった祖父が此の世を去ってから、Kくんはその事務所を継がなくてはならなくなってしまった。今日会ったKくんの髪は短く切られ、ジャケットを羽織っていた。人生、イロイロ・・・。


2000/7/22 (土)
風門

夕方仕事が終わったので、鍼灸に行った。私は風邪をひくと必ず鍼灸に行く。どうも、薬を飲んで直したりするのが好きではないのだ。何故だか東洋医学の方が体に合う。先生の話によると風邪は「風門」というツボ(首を前に曲げた時に出っ張る骨から数えて2つ下にある骨から指2本外側)から侵入するらしい。なので、このツボを指圧したり、お灸したり、ヘアードライヤーで温めたりすると効果的だという。


2000/7/23 (日)
母親

小児精神科医を務める友人と会う。
彼女の話によると、やはり母親が及ぼす子供への影響というのは計り知れないらしい。「マザーファクター」という本があって、ここには色々なタイプの母親による子供の育ち方の症例が書かれているらしいが、ここに紹介されている子供達に共通して言えることは、ある年齢に達した時に自分の母親以外の人に"母親"を求めてしまうらしい。それは自分より年上の大人の人であったり、恋人であったり・・・。そう考えると、今私のやっている「つぐみへ・・・」の中で、犯人の吉村真佐規が私(優美)の中に、ある理想の母親像をみて恋をしてしまったということも充分に考えられる。


2000/7/24 (月)
粒子

カメラマンである私の友人は、最近デジカメで撮影をしている。彼の場合は特にコンピューターで後処理をしているのでその方が楽なのだろう。けれども、よく考えると撮影したものがそのままコンピューターに取り込まれ、そこでアレンジされ、そのまま編集部に送信される・・・。その後で雑誌という形になるからいいものの、それまでの過程で、それは何の実体もない光のつぶなのである。何だか不思議な感覚だ。


2000/7/25 (火)
覗見

今日、ヘアーメイクをしてくれたSさんは時々別名でカメラマンもしている。「フィルターを覗いていると時々、被写体の中に天使が見えるんだよね。」と言っていた。カメラのフィルターは色々なモノを写し出す。そして、カメラマンだけが知っている・・・。


2000/7/26 (水)
手鏡

私はよく自分の手の平を眺める。手相のことは良く知らないが、自分の成長にしたがって確実に手相が変化していることはわかる。人相もそうだが、手相にもきっとその人その人の生き様が現れてくるのだろう。


2000/7/27 (木)
責任

「つぐみへ・・・」4話ON AIR。自分達の意図しないところで自分たちの生活がどんどん振り回されて行く。まるで関係ない人達の無責任な発言、それを面白がって見る人々。本当の意味で自分の仕事にプライドと責任をもっていない人々が多すぎる。みんな、"己の生"に責任感がなさすぎるのだ。大切にしなければならないモノの順番が狂っている。


2000/7/28 (金)
昼下

夏の蒸し暑い昼下がり、部屋の中でクーラーを入れ、少しだけ窓を開けて、読書などをしながら過ごす時間が、私は好きだ。限られた空間は、一つ風通しを良くしてやると永遠の空間と化す。外ではせみがけたたましく啼いているが、窓ガラスという透明な一枚のフィルターが入っているため、その声はただ遠いところで<<<ワンワン>>>と、鳴り響いている。なんとなく異空間。なんとなくノスタルジー。


2000/7/29 (土)
巫女

HIROMIXにインタビュー。ヒロミちゃんと出会ってから、もう3年程の月日が経つ。その間、彼女はヨーロッパに新しい風を吹かせる程の写真家になっていた。数年前、パリの本屋でヒロミちゃんの写真集が平積みになっているのを見て感動したことがある。その魅力は一体??? 私は彼女の前世は邪馬台国の卑弥呼だったのではないかと思う。話を聞けば聞くほど彼女は巫女体質なのだ。21世紀、彼女を怒らせたらこわいぞー!!


2000/7/30 (日)
風流

お正月ドラマの台本があがってきたので目を通す。「一分の隙もない張りつめたこころ。これは実に誰でもできる。その糸をゆるめて、緩めて、なお隙のない心・・・これが茶の湯の風流です。」なるほど・・・。


2000/7/31 (月)
五色

東洋思想の一環らしいが、人は赤、黒、黄色、白、青と5色に分けることが出来るらしい。それぞれの色がどう特徴付けられているかは知らないが、人の話によるとどうやら私は赤らしい。赤ってどんな感じなんだろう?




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