2000/6/1 (木)
待逢

今日は新しいダーリン(仲村トオルさん)と初の撮影。(といっても数年前に共演したことはあるのだが・・・)こんなふうにいろいろな人と夫婦になれるのも役者の特権!! でも、本当にそんな人に出逢えるのはいつのことやら・・・。


2000/6/2 (金)
抽象

いろいろなことを、どんどん突き詰めていくと形のないエネルギー体にぶつかる。
でもそのエネルギー体は一体何によって、どんな風に存在してくるのだろう???今日はそんなことをずっと考えていた・・・。


2000/6/3 (土)
睡眠

さすがに、体が疲れてきた・・・。
今日はこれで、寝かせてもらうことにする。



2000/6/4 (日)
立場

「つぐみへ・・・」の4話の決定稿を読む。うーーーーん、準備稿の方がよかったのにどうしてこんなに変わってしまったのだろう????そこにあるあまりの作為にへこんでしまった。きっと、みんなが考え過ぎてしまった結果のように思う。

撮影後、プロデユーサー&監督と打ち合わせ。
みんながそれぞれの立場でそれぞれのことを主張する。でも、入口は違えど、最終的にみんな見ているところは一緒。それを台本という形にする時点で変わってしまうのだ。これから3ヶ月大変だなーーー。ナーンテ、こんな大変は嫌いじゃなかったりするんだけど・・・。


2000/6/5 (月)
交感

友人がweb上でメデイア・アートをやりたいというので、その作品のお手伝いをすることになる。それはコトバと映像のアットランダムな羅列によって、何かを伝えるというもので、よくよく話をしてみると表現の仕方は違えど、根本は私がホームページ(対談)でやろうとしていることと同じように思えた。とりあえず、今日は二人でコトバを考えた。交換日記のようにしてイメージするコトバを交換する。するとお互いが交わしたコトバがいろいろな意味をもってシンクロしてくる。交換が交感になってくる。わーーーい、それだけで楽しくなってきた。


2000/6/6 (火)
逃魂

今日は某クライアントのパーテイーの為、日帰りで大阪。契約タレントが10人以上出席するとても華やかなパーテイーなんだが、どうにもこうにもなじめない・・・。
だいたい人混みが大嫌いで、社交嫌いな為、パーテイーなどに呼ばれるとそれだけでグッタリしてしまうのだ。宝塚のレビューなども織り込まれ、盛り上がれば盛り上がるほど、自分はどんどん冷めて行ってしまう。舞台上で挨拶はしていても、嫌がっている精神は完全に肉体から離れどこかに逃げてしまっている。そこでの役目をきちんと果たしている他の面々にに脱帽。


2000/6/7 (水)
凡影

夕方帰宅。
体が疲れているせいか、なにもする気になれず窓辺で寝そべった。空が全開。静かに目をつぶると風の音が耳を横切り、都会の騒音が遠いところから靄に包まれ響いてくる・・・。あー夏だなー、なんとなくそう思った。湿度のせいか何なのかはわからないが、夏に感じる音の響き方をしていた。それはどこか懐かしく、こども時代の情景を思い起こさせるような響きであった。


2000/6/8 (木)
蘇生

今日は「つぐみへ・・・」の制作発表だった。
「つぐみへ」の後に続く「・・・」は一体なんなんだろう??? とふと考える。私はこの「・・・」のところに「ママはきっと、あなたの死を無駄にはしないからね。」という思いを込めたいと思った。


2000/6/9 (金)
経路

撮影の空き時間、仲村トオルさんといろいろな話をする。
まだ、撮影はようやく1話を取り終えたところだが、ドラマの内容が内容なだけにきちんとした最終回を迎えられるよう試行錯誤する。このドラマを通して、みんなが人生の中の大きなテーマを探っている。これはとても良い傾向だ。きっとそこには正解はなく、それぞれの人がそれぞれの方法で現実を受け入れ、生きていく、ということなのだろう・・・。


2000/6/10 (土)
幸福

友達の誕生日パーテイーに行った。
最近なんだか元気がなさそうだったので、「幸福の木」をプレゼントした。自分がまっすぐ、きれいな心で生きていれば、絶対に神様は試練も与えるけれど、ご褒美も下さる・・・と私は信じている。


2000/6/11 (日)
倦怠

免疫力が低下している。
何をやっても力が入らず、体が怠い・・・。
でも、今日のシーンはつぐみが亡くなってしまいぐったりしているところだったので、ちょうど良かったかも???


2000/6/12 (月)
経路

あまりに怠いので整体に行った。やはり免疫力が低下している模様・・・。でも、整体のおかげですっかり体の中の邪気は吸い取られ、なんとか今週もがんばれそう!!その先生はよく「外経絡」ということばを使う。これは先さきを読む力のようなことを意味しているらしいが、何事も先手を打ってツボを押さえなくてはね、ということだろう。


2000/6/13 (火)
順応

先週までの初夏気分はいずこへ・・・。
梅雨入りしてから気温もドンと下がり、とうとうしまったはずの羽布団を再び出してしまった。そして、あまりの寒さにウールのカーデイガンまで羽織ってしまう始末。でも、そこで、もう6月だし・・・と言って我慢していても風邪をひいてしまうだけだし、そんな固定観念に縛られるのもバカバカしい。雨が降ったら降ったなりに、寒くなったらなったなりに対応していけばいい。


2000/6/14 (水)
余白

今日も雨。ロケはどうなることかと思ったが決行!!昨日の日記にも書いたが、その時どきに柔軟に対応していく能力はやはり必要だと思う。長い(?)人生、いつどこで何がやってくるかわからないから、ハンドルにはある程度の遊びを持たせておかないと。


2000/6/15 (木)
死別

今日、つぐみが息を引きとった。ドラマとはいえなんとなくグッタリ・・・。私は愛する人の誰よりも早く死んでしまいたい、と時々思う。でも、それってとっても自分勝手な意見。此の世の人は皆、愛する人の死を経験しなければならないのだから・・・。


2000/6/16 (金)
葬列

今日はつぐみの告別式。あー、もう嫌だ。哀しくて、体が重たくなってくる。子供の頃、身内の告別式で、参列してくれた人々を見て辟易としたことがある。「死」というショックに直面したばかりの子供だったからこそ、余計にお悔やみの言葉の裏に隠された、大人の汚れたこころが読めてしまったのかもしれない・・・。


2000/6/17 (土)
鉢植

「つぐみへ・・・」の家のリビングには植木が置いてある。つぐみを失ったショックから家のことが手につかない、という母の心情を植木の枯れていく様子を入れ込みながら撮りたい、という監督の思いで、ここ数日間、植木に水がやられていなかった。
ところが、今日、撮影の合間にその植木を見てみると、そんな話を聞かされていなかったスタッフが「可愛そうに、こんなにカラカラになっちゃって・・・」と、木に話かけながらナント、ビールをかけていた。その様子をじっとみていると、どうやら水がなかったらしくとりあえず、ビールでも・・・ということだったらしい・・・。
そして、近くを通りかかったもう一人のスタッフにまたまた「この植木、可愛そうに水をやってないから、カラカラだよ・・。とりあえず、ビールをあげたんだけど、1本じゃ足りないんだ。」などと話している。そして、そんな様子をじっと見ていた私はというと、ビールをかけている人を止めてまで植木を見殺しには出来ないという良心のかけらと、その人の優しさを微笑ましく思う気持ちと、ビールなんてかけて植木は大丈夫なんだろうかと、と心配する気持ちとでゴチャゴチャしていた。


2000/6/18 (日)
皆月

花村萬月原作の映画「皆月」を観た。小説を読んでいたせいか、少しがっかり・・・。でも、弟役の北村一樹くんはとても色っぽく、強く、切なくてよかった。「みんな月でした。」という姉が残していった手紙から始まるこの物語、ここに登場する人物はそれぞれに皆、月なのだ。それぞれの切なくて、どうしようもない思いが黒い塊となって胸に残る・・・。


2000/6/19 (月)
嗅覚

取材日。
今日のスタッフはみんな初めてコラボレーションする人達だった為、一通りの挨拶を済ませると、何となくぎこちなさが漂った。犬の散歩に出かけた時に他の犬と遭遇すると犬同志がお互いにクンクンやる、ああいう感じのぎこちなさに似ていたので、なんだか可笑しかった。モノを創る人達は皆、嗅覚が優れているので人の見分け方が動物的である。故に、コトバ上でのコミュニケーションよりも感覚的なコミュニケーションの方が得意だったりする。だからこそ一度うち解けてしまえば言葉なくして通じ合えるので面白い。今日の撮影は久しぶりに楽しかった。


2000/6/20 (火)
表裏

夜、友人と飲みに行く。その人と私はあまりに性格や行動パターンが正反対なので、話をしていると結構可笑しい。その人のコトバの選び方には無駄はなく全てに真をくっている、が私はというとコトバそのものにはあまり意味はなく、その行間から何かを読みとって欲しいと思っている。そんな感じは二人の行動パターンにも現れていて、その人は計画通りに事が運ぶことを喜んで、私は計画外に起こったハプニングを喜んでいる。そんな二人が何故友達なのかと言うと、きっとアプローチの仕方は違えど、見ているところは一緒だからなのだと思う。


2000/6/21 (水)
循環

「つぐみへ・・・」で使っている我が家は、横浜市内の住宅街にある貸家である。撮影当初、この家には生気がなかった。しかし、ここのところ多くの人が出入りし、使っているせいか、息を吹き返してきたようである。やはり、なんでも使っていないとダメなんだなー。


2000/6/22 (木)
意識

坂本龍一さん、後藤繁雄さん、中島英樹さん、空里香さんの企画している「CODE]という雑誌のミーテイングに参加させてもらう。みんなの環境に対する意識の高さにはいつも驚く。昨年催された「LIFE」というオペラの時もそうだったが、こうやって制作過程を見せてもらえるのはとても幸運なことだ。さて、私は何をやっていこう????


2000/6/23 (金)
師匠

ホームページに載せるインタビューの初回を坂本龍一さんにお願いし、インタビューさせてもらった。まだまだ、インタビューすることに慣れていないので、逆に気を使わせてしまったように思う。記事にしやすいように話して下さった坂本さんに感謝。坂本さんは今、自分の音楽の次なる可能性と人間坂本龍一の次なるスタンスについて模索しているように思えた。いつの時代も変化し模索し続けている坂本さんの生き方はやはりステキだと思う。


2000/6/24 (土)
充実

TOYOTAの撮影の為、南仏ロケ。今日は一日移動日。昔はヨーロッパ行きの国際線などに乗ったら「まだか、まだか・・・」と退屈でしょうがなかったものだが、最近はその機内での十数時間が結構楽しかったりする。本を読んだり、物思いに耽ったり、眠ったり・・・。きっと、時間の使い方が上手くなったのだろう。


2000/6/25 (日)
慕情

プロヴァンスの日中、日差しが強く雲一つない青空に、大きく、くっきりと月が浮かんでいた。山道をくねくね車で上がる中、その月は山かげに見え隠れする。山かげに月が隠れると無償に月が恋しくなる。昼なのに月を求める。車の中から、ずっと、ずっと月を目で追った。


2000/6/26 (月)
明暗

撮影の合間、カメラを持ってフラフラ散歩する。
気が付くと壁に写し出された強い影ばかりを追っていた。南仏の光は美しい。そのコントラストが強ければ強いほど・・・。


2000/6/27 (火)
灼熱

光が強くて、湿度がないとココロがカランとしてくる。昔読んだ、ジョイスの「ダブリン市民」の中に、主人公の男の子がわざと光の強くあたる側を選んで歩いていたのを思い出した。


2000/6/28 (水)
連鎖

外国での撮影で一番驚くのは食事時のケータリングサービスだ。昼から前菜、メイン、デザートそして、ワインまで出る。私は撮影時の食事にうるさい方ではないが、やはり人が心を込めて作ってくれたものは嬉しいに決まっている。料理もアート、魂が籠もっていなければ、何の意味もない。魂の籠もった食事を採り、魂を込めて演技する、撮影する、監督する・・・そうやって、一つの作品はみんなの力で出来上がってくる。


2000/6/29 (木)
天性

私たちの車の運転をしてくれていたのはヴィンセントというチャーミングな男の子(?)。いつもみんなに笑みをもたらしてくれる愛すべきキャラクターの持ち主なのだが、どうにもこうにも運転が危なっかしい。車にぶつかりそうになったこと数回、道を間違える事など日常茶飯事、とにかく情緒不安定なのか運転が落ち着かず、恐ろしい・・・。そして、みんなで話し合った結果、そのむねを制作を仕切っている人に伝えた。きっと、運転という仕事は彼の適正ではないのだ。その日の午後、ヴィンセントは泣いていた。渡り鳥のようにみんなの所を転々とし、かまわれながら泣いていた。心が痛んだ。けど、なんだか腑に落ちない。もーーー!!本当に!!ピュアで繊細で、不器用な心優しい甘えん坊さんに、私は本当に弱い・・・。その日の夕食はヴィンセントを呼んで、みんなでテーブルを囲んだ。


2000/6/30 (金)
不易

撮影を終え、パリに。一日しかないパリの滞在をどう使おうか考えた。普段、パリにいるからといってあまり買い物に走ったりはしないのだが、今回はみんなが買い物をする、というのでそれに参加する事にした。いつもとは違うパリを満喫した。少し大げさに言うと今のファッション(アート)の流れを体で体験したように思う。新旧が同時に横たわるパリだからこそ、普遍的な何かを失わずに今を表現する人達が集まるのかもしれない。




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