mayu tsuruta | kenji babasaki
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  happyになるための修行

ずっと一人になりたかったんだと思う
tsuruta  そもそも馬場崎さんがインドに行こうと思ったきっかけはなんだったんですか?

babasaki  それは70年代だもん、ヒッピームーブメント!!大学の2年生の頃からずーっと4年生になったら行こう!!と考えていたんだよね。だから3年生までに出来るだけ単位を取ったりして・・。それで、ネパールに行った時に、ピクニックに行かないかと誘われて、ピクニック?いいよ、と軽い気持ちで誘いにのったら登山のことで(笑)、一日目から追いつけなくて山の中に一人置いて行かれたんだよね。そりゃー無理だよ、山なんか登ったことなかったんだもん。ネパールの山ってものすごいんだから!でも、僕が二日目に行った所はもうみんな一日目に通り過ぎていたらしい(笑)。それでも、3500メートル位は登ったんじゃないかな。真夏でも半ズボンじゃとても寒くて寒くていられない程だった。そこで生まれて初めて一人になったんだよね。でも、ずーっと一人になりたかったんだと思う。

t  一人になった時、何を思いましたか?
b  なんにも思わなかった。でも、すごく気持ち良かったなー。それで、帰りたくなくなっちゃって・・・。それからはいろんな所を歩き回って、気にいったら1・2日とどまって。ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり・・・ただただ歩いて、結局気付いた時には一ヶ月も過ぎていた。(笑)

t  その時に衝撃的なタンカとの出逢いがあったんですか?

b  うううん。その時はまだ、そんなに。でもカトマンズなんて行くとみやげものやにタンカがいっぱい置いてあって、それを見たときにはビックリした。だって、ものすごいじゃない、あの細かさは。あれは普通の人間は描けないよ。でも、その時はまだ、自分が描きたいとか、タンカが欲しいとか全然思っていなかった。けれども、そこでアメリカ人のヒッピーの女の人と出逢って、仏教のこととかいろいろ教えてもらって・・「インドに行ったらダラムサラの近くのダラハウジというヒルステーションでメデイテーションコースを受けるんだけど一緒に来ない?」って誘われてついて行ったの。だから、彼女が一番最初に僕に仏教とかメデイテーションとかを教えてくれた人だったんだよね。その頃なんて、ブッダっていうのは"神"だと思っていたんだから(笑)。それから7・8カ月ネパール・インド・パキスタン・アフガニスタンをまわって卒業試験を受けに日本に帰ったの。もう帰る頃には仏教とかメデイテーションとか、すごく好きになっていた。それで、帰る時に、日本には仏教もあるし、禅というのもあるから勉強したら?って言われて、大徳寺の僧院に入ったりしたの。インドのそれとは全然違って厳しくて、気が狂うかと思った(笑)。でも、逆にそこから高次元にまで行けるんだよね。きっと、ああいう厳しさは西洋人には向いていないと思う。日本人だから出来るんだよ。




ただの人間として生きましょ
         それなんだもん結局
t  ダライ・ラマさんもそうだけど、チベットのお坊さんはいつもフラフラしていますよね。
b  そうそう、チベット人はみんなそうだよね。お経を読んでいるときも体で拍子とっているみたいだし、全然なっていない(笑)。だから、僕も始めは「なんだーお坊さんのくせに」って思っていたんだけど、生活しているうちに「あー、重要なのは"内"なのね。」って思えてきた。日本人の重要視しているところは結局"外"なんだよね。チベット人も、形として残しているものはもちろんあるんだけど、メリハリなんだろうなー。だって、日本のようにいつもいつも形式の中にいて、難しい顔をしている必要ないでしょ?もっと、もっと、ヒューマニテイー溢れていいんじゃないのかな。ただの人間として生きましょう!って。それなんだもん、結局、仏教っていうのは。

t  チベット人のあの笑顔はそういう所から来ているのかもしれませんね。
b  そうそう、だって笑顔っていうのはとても大切でしょ?日本のお坊さんのしかめっ面はよくないよ。日本の場合、お坊さんだから難しい顔をしていなければいけない、っていうような先入観があるじゃない?あれはちょっとおかしいよね。

t  そうかもしれませんね。だって、本当にダライ・ラマさんの笑顔を見ると、こちらまで笑っちゃうもの。
b  あれはすごいオーラだね。ある程度行ききっちゃうと人はhappyを感じられるんだろうね。だから心からの笑顔がつくれる。だって、悲しかったら人は笑えないでしょ?happyになる為に修業しないと!!

t  そうですね。私、この前初めてインドに行って、電車で移動している時に、流れ行く景色を眺めながら「なんて幸せなんだろう・・・」って一人で噛みしめちゃったんです(笑)。たぶん、今までの私だったら「切ないなー」って思っていたと思う。インドにはきっと、人の心を和らげる作用があるんでしょうね。
b  僕なんて、日本から戻るたびにそう思うよ。あのムチャクチャな交通量でさえ落ち着くんだよね。交通量からいったら日本とそう変わらないじゃない?逆にインドの方が自転車、牛車、人までもがいいかげんに歩いていて、日本より混沌としている。でも、そんなに事故って起きていないんだよね。それは僕が思うに、インド人は一人一人を尊重しているからだと思う。他人に迷惑さえかけなければ人が何をしようと何も言わない。そういう考えがはっきりしているよね。自分は自分でいいんだよ。人がどう思うだろう、なんていう変なエネルギーはいらない。本当に素直にただただ歩いていればいいの。雑念なくなんでもしていいの。楽だよーつまらないことに気を揉まなくていいって。だって、そういうことに神経を使うって大変なことだもん。最初にそれやってたら何にも出来ないでしょ。だから、本当にインド大好き!!あの国がなかったら大変だったと思うよ。僕だけじゃなくて、地球が。

t  本当にそう思います。この地球上にインドがあってよかった!!って。でも、インドもデリーはダメですね。
b  うん。ずいぶん変わっちゃったよね。あのアメリカ人のキャピタリズムがダメ!!あれが人間性を壊していると思う。あの思考法で行くと世界はいつか壊れるよね。物質は人間の欲望を煽ってしまうんだよ。だって、みんな欲望は持っているんだからさ。精神性とは逆のことを推進しているからどんどん精神性が消えて行ってしまう。で、なくなってくると今度はあせって精神性を重んじたりする。なんかブームみたいにやってくるでしょ?人間っていつもそうだよね。何かないと気付かない。誰もが言うように、どんなにお金をためこんだって墓場にはもって行かれないのにね。それなのに苦労して貯め込んで、気付いた時にはもう死んでいる(笑)。日本人から哲学者が出ないのはそういうところだよね。宗教学者だって知識だけ。

 

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